さつまいもは犬用のおやつにもよく使われています。
「わんちゃんの体に良いだろう」と、与えている飼い主さんも多いのではないでしょうか。
実際、さつまいもにはどのような栄養があって、わんちゃんの体にはどんな影響があるのでしょう?また、与える際にはどんなことに注意すべきなのでしょうか?
あまり知られていない「さつまいもの意外な特徴」とともに、これらの疑問にお答えします。
愛犬に「さつまいも」あげてもいいの?
さつまいもは、たくさんの栄養素を含んでいます。老犬や、術後や病後の体力が低下している子には積極的に与えたい食べものです。
ただし、愛犬に「さつまいも」を与える際に気をつけなければならない注意点もあります。
わんちゃんは甘いものがすきだから、きっとさつまいもが好きな子は多いよね
まずは、犬に「さつまいも」を与えるとどんなメリットがあるのかを見ていきましょう。
愛犬に「さつまいも」を与えるメリット
さつまいもを与えると、わんちゃんの体にはこのような「いいこと」が起こります。
- 老化防止
- 生活習慣病の予防
- 皮膚や粘膜の健康維持
- 皮膚や被毛を守る
- 腸の働きを整える
- 体のバランスを整える
わーぉ。わたしたちにとっても身近な野菜だけど、わんちゃんの体にも、こんなにいろんな作用があったんだね
知らなかった
さつまいもの主な成分と働き|ならではの特徴|
ではここから、さつまいもが愛犬の体に与える影響について、もう少し詳しく見ていきたいと思います。
主な成分とその働き
まずは、さつまいもに含まれている主な栄養素とその働きについてまとめました。
主な栄養素 | 働き |
炭水化物 |
|
食物繊維 |
|
ビタミンC |
|
ビタミンE |
|
ビタミンB6 |
|
カリウム |
|
ヤラピン |
|
ポリフェノール |
|
細胞レベルから皮膚や被毛の維持と、さつまいもは体のあらゆるところで効果を発揮してくれるのですね。では更に、「さつまいもならでは」の特徴にも注目してみたいと思います。
「さつまいもならでは」の特徴
これら成分の特徴の中から、さつまいも特有のものをいくつか確認しておきましょう。
主成分は炭水化物
さつまいもの主成分は炭水化物です。炭水化物は、わんちゃんの体をつくる上でとても重要なエネルギー源となります。
加熱すると甘くなるデンプン
さつまいもに含まれるデンプンは、加熱することによってベータアミラーゼという酵素が働き、「麦芽糖(マルトース)」に変化します。焼いたり蒸したりすることでより甘くなるのは、この「麦芽糖(マルトース)」が関係していると言われています。
じゃがいもが甘くならないのは、このβアミラーゼが含まれていないからだよ
ビタミンC
さつまいもに含まれているビタミンCは、でんぷんに包まれているため熱に強く、加熱しても成分が溶け出さずに残ります。
イモ類の中で、ビタミンCが一番多く含まれているのはサツマイモなんだって
ヤラピン
ヤラピンは、さつまいもにだけ含まれる特別な成分です。豊富な食物繊維で便をスムーズにし、腸内活動を活発にすることで大腸の健康を保ってくれます。
さつまいもを切った時に出てくる「白い汁」がヤラピンだよ
カロリーが高い
さつまいもは、比較的カロリーの高い食材と言えます。
白米 | 168kcal/100g |
さつまいも(蒸し) | 134kcal/100g |
さつまいも(焼き) | 163kcal/100g |
高カロリーな食材として知られている「白米」と比べてみると、白米の約3分の2にも当たります。また、焼き芋になると100gあたりのカロリーは、白米と変わらない数値になります。
カリウムが多く含まれる
さつまいもにはカリウムが多く含まれます。
ゆで卵 | 130mg/100g |
さつまいも(蒸し) | 480mg/100g |
さつまいも(焼き) | 540mg/100g |
ほぼすべての栄養素がバランス良く含まれている「ゆで卵」と比べてみると、ゆで卵の3倍を超えています。そして、100gあたりのカリウム含有料もまた、焼き芋になると更に上昇します。
焼くと水分が失われるから、100gあたりのカロリーが高くなるのはしょうがないんだけどね
ポリフェノール
ポリフェノールは、さつまいもの皮に多く含まれています。
さつまいものアクは、このポリフェノールなんだって
ここまで、さつまいもが愛犬の体に様々なメリットをもたらすということをご紹介してきました。
ここからは、必ず知っておきたい「さつまいもの注意点」についてです。いっしょに確認していきましょう。
愛犬に「さつまいも」与える際の注意点
わたしたちが注意しなければならないことはこの5つです。
- 加熱すること
- 適量を守ること
- 人間用に加工されてたものを与えないこと
- アレルギーが出ないかよく確認すること
- 腎臓病・心臓病・結石の犬には与えないこと
わ… 腎臓病、心臓病、結石には良くないんだね
無知ってこわいね
ほんとうに、その通りですよね。よかれと思って与えたものが、愛犬を苦しめることになるなんて耐えられません。では、ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
加熱すること
生のさつまいもは、硬くて消化に良くありません。必ず加熱して柔らかくしてから与えましょう。
カロリーが高い「さつまいも」は与え過ぎに注意|体重別の適量
さつまいもは、想像以上にカロリーが高い食材だということがわかりました。栄養が豊富だからといって与えすぎてしまうと、肥満の原因になります。
肥満は、あらゆる疾患を引き起こす原因になり得ます。
適量はどのくらい?
1日にどのくらいまでなら、さつまいもを与えてもいいの?体重別に適量を確認しておきましょう。
体重 | 目安 |
3kg | 約18g |
5kg | 約27g |
10kg | 約47g |
15kg | 約63g |
※さつまいも以外に間食を与えない場合の目安
「あと少しだけ」「少しなら大丈夫」といった判断が、のちに愛犬を苦しめることになりかねません。愛犬と1日でも長く過ごすために必要なのは、飼い主としての知識と正しい行動です。
必ず適量を守って与えるようにしてください。
そうだよね、こんなに小さな体だもんね
人間用に加工されたものを与えない
わたしたちが食べている加工食品には、わんちゃんの体に「良くないもの」が含まれています。
- スイートポテト
- 大学いも
- さつまいもチップス
どれも、砂糖や脂肪が多く含まれていて、わんちゃんの体には負担が大きすぎます。与えるのであれば、味付けをせずに調理したものや「犬用」に市販されているものにしましょう。
ぼくは、手作りおやつが食べたい
アレルギーに注意|症状と対処法
さつまいもは、グルテンを含まないため比較的アレルゲンになりにくとされていて、ドッグフードの原材料にもなっています。とはいえ、食物アレルギーはどんな食べものでも起こり得るものです。
「グルテン」は穀類の胚乳から生成されるタンパク質のことだよ
さつまいもを与えた後に次のような症状が見られたら、アレルギーの可能性を考えましょう。
症状
- 下痢や嘔吐
- 体を痒がる、赤くなる
食物アレルギーで痒くなる部位はある程度定まっています。こんなところを搔き出したらアレルギー症状の可能性があります。
- 目や口のまわり
- 耳
- 脇
- 四肢の指の間
- 肛門まわり
対処法
食物アレルギーは、アレルゲンとなっているものを与えなければ症状が治まります。これらの症状が見られた場合には、すぐに与えるのをやめて、かかりつけの獣医さんに相談されることをおすすめします。
さつまいもに限らず、初めて口にするものを与えるときは少しの量から始めることを心がけてください。愛犬の便の状態や、いつもと変わった様子がないかを見ながら、徐々に適量に近づけるようにしましょう。
|腎臓病・心臓病|結石|を患っている犬には与えないこと
これまでお話した注意点に加えて、いっそう注意が必要なのが、愛犬に以下の疾患がある場合です。
- 腎臓病、心臓病
- 結石
さつまいもに含まれる成分によって、病状が悪化してしまうことがあります。
愛犬がこれらの疾患を持っている場合は、少量であっても与えないほうが良いでしょう。
それはどんな成分なのか、理由と対策についても確認しておきましょう。
腎臓病・心臓病|カリウム|危険な理由と対策
理由
さつまいもにはカリウムが多く含まれていましたよね。腎臓病で腎機能が低下すると、体の中のカリウムを上手く排出することができずに体に溜まってしまいます。体に溜まったカリウムによって血圧が下がり、不整脈などを引き起こす恐れがあります。
腎臓からのカリウムの排泄が低下することにより、高カリウム血症をきたします。高カリウム血症は不整脈をきたし、突然死の原因となることがあります。
人間の何倍も体の小さいわんちゃんにとって、より深刻な事態になるという事はご想像いただけるはずです。
対策
腎臓病や心臓病を患っているわんちゃんには、さつまいもを与えないでください。
結石|シュウ酸|危険な理由と対策
理由
さつまいもには、「シュウ酸カルシウム結石」の原因になるシュウ酸という成分が含まれています。シュウ酸は、尿が作られる時にカルシウムと結合して尿路結石をつくってしまうことがあります。
対策
さつまいもに含まれるシュウ酸は、加熱や水にさらすなどの方法でも取り除くことが難しいとされています。
そのため、シュウ酸カルシウム結石を患ったことのあるわんちゃんに、さつまいもを与えるのは控えましょう。
結石は再発率が高いと言われているから、一度石ができたことのある子は特に気をつけてあげなくちゃ!
さつまいもの他にも、カリウムとシュウ酸を含む食べ物といえばこちら。与える際の注意点はしっかりおさえておきたいですね![keni-linkcard url=”https://dog-college.com/inu-banana/” target=”_blank”]
さつまいもの与え方
さつまいもには「加熱すると甘みが増す」という特徴がありましたね。わんちゃんは「甘いものを好んで食べる」という味覚を持っているので、是非加熱して与えてみましょう。
さつまいもは、加熱の方法によって水分の量が大きく変わります。「焼いたり、干したり」すると水分が多く失われ、さつまいも自体の体積が縮まるので、100gあたりのカロリーが増えるのは当然なんです。決して、「焼いたら甘みが増すから、カロリーが増えている」わけではありません。
つまり、同じカロリー量で考えると、焼き芋・干し芋の方が食べられる量が少なくなる、と。
ぼくは、たくさんがいいです…
加熱することで甘みが増す|ふかし芋の作り方・与え方
https://www.instagram.com/p/Bsc-sIOFg1F/?utm_source=ig_web_button_share_sheet
ふかし芋の作り方
- 水…200ml
- さつまいも…2本
※クッキングシート
ー ー 作り方 ー ー
●さつまいもは水洗いできれいに泥を落として、皮はむかずにそのままにしておきます。
①フライパンに水を入れてクッキングシートを敷き、さつまいもを並べる
②蓋をして中火で熱し、蒸気が上がったら弱火にして20分間蒸す
③蓋を開けて上下をひっくり返して、さらに20分蒸す
④竹串を刺してスッと通ったら、できあがり!
●蒸している途中で水が少なくなったら、100mlほど追加してください。
与え方
ー その1 ー 皮ごと1センチ角程度に切って、適量を与える。
ー その2 ー 皮はむいて細かくきざむなどし、皮以外はつぶす。
この「ふかし芋」をベースに、ケーキやスイートポテトにもアレンジできそうですね。
のどに詰まらせないように気をつけて!
口に入れたものを咀嚼せずに飲み込むわんちゃんは多いですよね。さつまいもは、一度にたくさん口に入れると、のどに詰まらせやすい食材です。飲み込める量を考えて、少しずつ与えましょう!
みんな作ってる!「さつまいものケーキ」|簡単手作りレシピ
さつまいもを使った犬用レシピはたくさん公開されています。中でも人気のなのが「さつまいものケーキ」。みなさん素敵な「おいもケーキ」を作っていらっしゃいます〜♪
https://www.instagram.com/p/Bp9np85BRzc/?utm_source=ig_web_button_share_sheet
「さつまいものケーキ」簡単レシピのご紹介
飼い主さんの愛情がたくさん込められた手作りケーキだね
じーん。
「さつまいも」を使ったおやつはたくさん。|市販
市販されている「さつまいものおやつ」もいくつかご紹介しておきましょう。
さつまいもを使った犬用のおやつはたくさん市販されています。色々なものを試しながら、愛犬の「お気に入り」が見つかるといいですね♪
まとめ
さつまいもを愛犬に与えると、様々なメリットがあるということがわかりましたね。
しかしその一方で、さつまいもを与える際に気をつけなければならないこともありました。
- 加熱して、消化のよい状態で与える
- カロリーが高いので適量を守って与える
- 人間用に味付けされたものを与えない
- アレルギーに注意する
- 腎臓や心臓、結石を患っている犬には与えない
これら5つのことに気をつけていれば、「さつまいも」は愛犬のおなかも健康も満たしてくれるとても良い食べものだと言えます。
わたしたち飼い主は、いつまでも愛犬と一緒に過ごせるようにと願っていますよね。そして、「飼い主としての正しい行動」をいつだって試されている様な気がします。かけがえのない愛犬との時間、悔いのないものにしたいですね。
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。