季節は変わり、夏から秋になってきました。

だんだん肌寒くなってきましたが、秋の旬の果物といえば「ぶどう」ですよね。

ぶどうには、ビタミン・ミネラル、そしてポリフェノールなどが含まれており、栄養価が高い果物でもあるのです。

私たちがぶどうを食べてると、甘い香りに誘われて、愛犬が近づいてきませんか?

そして、愛犬の必殺技である目をウルウルさせてクーンと鳴き、「僕もほしいよ」って訴えかけて見つめてきます。

愛犬に見つめられるとつい、食べさせてあげたくなっちゃいますよね。

とても気持ちわかります。でも、ちょっと待ってください。本当にぶどうを愛犬に食べさせても大丈夫なのでしょうか。

今回は、愛犬にぶどうを与えても問題ないのかについて調べてみました。

愛犬にぶどうを与えても大丈夫?

結論からいうと、犬にぶどうやレーズンは絶対与えてはいけません。

すこしの量でもダメです。

人間にとっては、とても栄養価の高い果物ですが、犬にとっては、危険な食べ物なのです。

ぶどうやレーズンを食べてしまった犬の中毒症状や危険性が報告されるようになったのは、2001年頃だといわれています。

犬がぶどうを食べてしまい、急性腎不全を引き起こすという事故が多発し、その後も世界各国で同じ症例が報告され続けたことで犬にとって危険な果物であるという認識が広まっていきました。

また、日本小動物獣医学会誌でも「ブドウ摂取4日後に死亡した」実例が紹介されています。↓

日本小動物獣医学会誌

3歳,雄,体重2 .5kgのマルチーズが,種なし小ブドウ約70グラムを食べた5時間後から始まった嘔吐と乏尿を訴え て摂取2日後に来院した.血液検査では重度の高窒素血症,高カルシウム血症,高リン血症,および高カリウム血症が 認められた.利尿剤,ドパミン,点滴による治療を3日間試みたが無尿となり,ブドウ摂取4日後に死亡した.腎臓の 病理組織検査では近位尿細管上皮細胞の著しい変性壊死が認められた.これらの臨床および病理組織学的所見からブド ウ中毒と診断した.

引用先:日本小動物獣医学会誌

私たち飼い主が知識を持っていることで、愛犬の命を救うことができますよね。

美味しいぶどうがこのような中毒を起こすようには見えませんが、命を落とす危険性もあります。

大切な家族でもある愛犬には、「ぶどう」与えないでください。

注意していたのに愛犬がぶどうを食べてしまった場合は、すぐに動物病院へ連れていきましょう。

あきこあきこ

甘くて美味しいぶどうだけど、犬にとっては危険な果物なんて知らなかったわ


マシュマシュ

食べちゃうとひどい状態になる場合もあるから、注意が必要だよね

しかし、私たち飼い主が見ていないところで食べていたり、気付いたらテーブルに置いていたぶどうが少なくなっていたなんてこともあるかもしれません。

食べたかどうかわからないけど、ぶどうを食べた可能性がある時、どう判断したらいいのでしょうか。

一つの判断として、中毒症状があります。

次に、ブドウ中毒になってしまうとどのような症状が現れるのかについて見ていきましょう。

愛犬がぶどうを食べてしまった!【ブドウ中毒の症状とは!?】

ブドウ中毒の症状は、ぶどうを摂取した後、5~6時間で嘔吐が始まります。

その後も嘔吐を続け、排尿がみられなくなることが報告されています。

この嘔吐する症状は、ほぼ全ての症例で報告されております。

そのほかにも、下痢や震え、食欲低下などを併せて引き起こす場合もあります。

ブドウ中毒の症状
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 震え
  • 食欲低下
  • 呼吸速迫
  • 排尿しなくなる
  • 脱水症状
  • 元気消失

参考先:日本小動物獣医学会誌

また、内臓では腎機能の低下が始まり、急性腎不全を引き起こします。

海外の報告では,ブドウやレーズンを食べてから急性
腎不全を発症した犬の臨床像は比較的共通しており,摂 取後5~6時間で嘔吐がはじまり,その後に高Ca血症, 高P血症,高窒素血症,血中肝酵素の上昇,および尿比 重の低下が認められるケースが多い

引用先:日本小動物獣医学会誌

現在、ブドウ中毒になる原因は、解明されておらず詳細についてもわかっていません。

しかし、実際に愛犬がぶどうを食べてしまったことで、急性腎不全を引き起こすことは事実です。

急性腎不全などの腎臓病になってしまうと、最悪の場合、死に至るケースもあるので上記の症状が現れているのであれば、すぐに動物病院へ連れていってください。

この記事で頻繁にでてくる「急性腎不全」という病気ってどんな病気なんだろうと思う飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

ブドウ中毒になることで引き起こされる急性腎不全とは、どんな病気なのかについて見ていきましょう。

あきこあきこ

急性腎不全って言葉は知っているけど、どんな病気なのかしら?


マシュマシュ

ぼくも知っておきたい!見てみよう!

【急性腎不全】ってどんな病気?

みなさん、まず腎臓ってどんな働きをしている臓器か知っていますか?

腎臓には、「老廃物を体から排出する」働きがあります。

体の中をお掃除し、いつもきれいに保ってくれているということですね。

また、そのほかにも主に5つの働きがあります。

腎臓の主な働き

①血液中にたまった老廃物を尿として排出する

②体の中にある水分のバランスを整える

③体に必要な電解質を調節する

④血圧を調節したり、赤血球を増やすホルモンを生成する

⑤ビタミンDの働きを活性化し、骨を健康に保つ

人の握りこぶしより少し大きい臓器ですが、私たちや愛犬の体を正常に保つ働きをしてくれています。

その腎臓の機能が急激に低下し、腎臓が正常に働かなくなった状態を「急性腎不全」と呼びます。

急性腎不全が起こると、老廃物を外に排出できず体の中に溜まってしまい、治療が遅れると死に至るケースもあるので、とても恐ろしい病気です。

また、腎臓は、一度ダメージを受けると元に戻らないといわれています。

もし急性腎不全を起こしている場合は、一刻も早く治療する必要があります。

早期発見が回復につながる場合もあるので、今回紹介した症状や何か様子が変だと思ったらすぐに動物病院に連れていくことを忘れないでください。

あきこあきこ

腎臓ってすごく大切な臓器ですわ!早期治療が今後の回復などに繋がっているから、急性腎不全かなとおもったら、すぐに動物病院へ連れていきましょう。


マシュマシュ

急性腎不全の症状がある場合は、すぐに動物病院へ連れていってね

ここまで、愛犬にぶどうやレーズンを与えることで引き起こされる病気や危険性についてお話してきました。

まず、愛犬にぶどうを食べさせないことが大切ですが、私たち飼い主ができることは、事前に対策をすることです。

愛犬が安全に過ごせるように守っていくためにも、愛犬がぶどうを食べないようにする対策について調べてみました。

愛犬にぶどうを食べさせない!誤食を防ぐ【3つの対策】

愛犬にぶどうを食べさせないようにすることは、私たち飼い主が意識することが大切です。

いろんな状況を想像して、事前に対策し、愛犬をブドウ中毒から守っていきましょう。

ぶどうを放置しない

愛犬が届く位置にぶどうを置かないことが大事です。

目を離した隙に、甘い匂いにつられて愛犬が食べてしまう可能性もありますよね。

私だったら我慢できず食べちゃいます。

また、食べ終わった皮もそのままにしないようにしましょう。

対策point
愛犬が目につくところ・届く場所に置かないこと
どうを食べ終わったらすぐに捨てること

ぶどうを食べるタイミングに気をつける

愛犬がいるときにぶどうを食べようと台所で用意していたら、知らない間にぶどうが転がっていて、愛犬が落ちぶどうを食べちゃったということも考えられます。

また、ぶどう1粒が丸いので、愛犬の近くにコロコロ転がっていく可能性もありますよね。

愛犬のためにも、ぶどうを食べる時は、散歩へ出かけている時や、トリーミングに連れていっている時など、愛犬がいない時に食べることで、防ぐことができます。

ぶどうを食べる際には、食べている間の時間をペットハウス(犬小屋)で過ごしてもらうようにすることで、愛犬が食べないように工夫することもいいですよね。

対策point

①ぶどうを食べる時は、愛犬がいない時に食べる

・散歩へ出かけている時

・トリーミング中で家にいない時

・愛犬が寝ている時

②ぶどうを食べている間、愛犬にはペットハウス(犬小屋)で過ごしてもらうようにする

ぶどうが入っている加工食品を与えない

わたしたちの生活の中でもぶどうが含まれている加工食品は多くありますよね。

ぶどうジュースやレーズンパン、ヨーグルトやワインなどのぶどうが入っている加工食品は、与えないようにしましょう。

犬にとっては、ぶどうの成分が有害物質です。

少量だからとか、生のぶどうよりはいいだろうと安易に与えては絶対ダメです。

対策point

①ぶどうが入っている加工食品を与えない

【ぶどうが含まれている主な加工食品】

・干しぶどう

・ぶどうジュースやゼリー、ヨーグルト

・ワイン

・レーズン、レーズンパンやクッキー

まとめ

愛犬にぶどうを食べさせては、絶対にいけません。ぶどう1粒でも、少量でもダメです。

ぶどうを食べてしまったことで、ブドウ中毒から急性腎不全を引き起こし、最悪の場合は死に至る危険性があることを忘れないようにしましょう。

また、腎臓は一度ダメージを受けると元に戻ることができないと言われています。

私たち飼い主さんの判断が、愛犬の一生を決めることにも繋がるのです。

ぶどうに関わらず果物などの食べ物を与える際は、必ず愛犬が食べても大丈夫なのかや注意点を確認したうえで与えるようにしましょうね。

私たち飼い主が愛犬の命と未来を守っていきましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。